ロシアン・ロックの
名盤




ヤンカ/ЯНКА
スティド・イ・スラム




1991年/売り切れ
Moroz Records (MR99285)


ヤンカは1966年11月4日、ノボシビルスク生まれの伝説的女性ロック・
シンガーです。学生時代にアレクサンドル・バシュラチェフに啓発されて
曲を作りはじめ、のちにロシアで最も有名なパンク・ロック・グループ、
”グラジュダンスカヤ・アバローナ”のリーダー、イゴール・レートフと共に
ベリーキエ・アクチャーブリというバンドを結成、グラジュダンスカヤ・
アバローナのステージにも共演するなど女性ロック歌手として活躍
しました。

しかしイゴール・レートフの元を離れ、シベリアに戻った頃には精神を
病んでしまい、1991年3月、故郷ノボシビルスクにあるダーチャから
近所に散歩に出かけたのを最後に行方不明となり、数日後、近くの
川辺で亡くなっているのを発見されました。享年24歳です。

1991年6月に発表されたこのアルバムは、ヤンカの訃報を聞いた、
かつての盟友イゴール・レートフが彼女の未発表音源を収集、編集した
追悼アルバムです。収録曲の一つ、”ニュールキナ・ペースニャ”は
日本語で言えば”アンナの歌”ですが、”ヤンカの歌”と言ってもよい程
にペレストロイカ、ソビエト崩壊直前の混乱、盟友イゴール・レートフとの
決別などによって精神を引き裂かれていった当時のヤンカの心象が
映し出された美しい曲です。

音楽的にはイゴール・レートフの混沌としたパンク・ロックに付合った
ヤンカの曲は圧倒的な存在感、迫力、魅力はあったものの、決して
聞きやすいものではありませんでした。むしろこの”ニュールキナ・
ペースニャ”やバラード、ロシア民謡曲などの方がヤンカには合って
いたのではないかと思います。ヤンカの死後にイゴール・レートフが
ヤンカの真の魅力を引き出したアルバムを編集、発表したというのも
人生の不思議な巡り合わせだと感じます。

ヤンカの死後、10年以上が経ちますが、現在、ロシアの人気女性歌手
のユタがファースト・アルバムでヤンカの曲をカヴァーしたり、追悼の
コンサートが開催されたりと、ロシア本国での人気は衰えていません。
ロシアのジャニス・ジャップリンとの評もありますが、むしろマリナ・
ツヴェターエヴァなどロシアの悲劇の女流詩人の一人として将来は
評価されて行くのではないでしょうか。

Play

関連記事

戻る


 


PAGE 01 - 02 - 03 - 04 - 05 - 06 - 07 - 08 - 09 - 10 - 11


NEWS - ART - RUSSIA - GOODS - JAZZ - POLL - ASIA - CZECH - BURGALIA
JUNK - YOGAKU - ? - YANEURA - SHIMIZU